キンモクセイの記憶たち
- mikukotodama369
- 2025年10月10日
- 読了時間: 2分

キンモクセイがふわっと香る季節。お久しぶりの投稿です。
真夏の暑さが去って、空気がひんやりとしてくると、街に漂い出すこの香り。
桜の次くらいに毎年楽しみにしています。
この香りと共に蘇る記憶がいくつかあって、
幼い頃に歩いた故郷の道や、風景を思い出します。
すぐ向かいのOさんのお庭にも、大きなキンモクセイの木があります。
そのOさんが、昨日引越ししてしまいました。
私たちよりもずっと長くこの地に住んできた大先輩。
北海道生まれのご年配の女性で、元気に一人暮らしをされていました。
採れた野菜を喜んで食べてくれたり、いただきものを分けてくださったり、ほっとするご近所づきあいをさせてもらっていました。
3日前に、急に引っ越すことになったんですよとご挨拶にきてくれました。
家族みんなで慕っていたので、とてもさみしく、落ち込みました。
お迎えの車がしばらく家の前に停まっているのを見て、いてもたってもいられなくなり、急いでお手紙を書きました。
手紙を持ってご挨拶に行くと、いつも通りの元気な声で、いろんなお話をしてくれます。
「モグラはずっと土の中にいるのに、死ぬ時は陽の当たるところで死ぬんですよ。不思議ですよねえ。」
あれ、このお話、今日3回目だ。
物忘れがだんだんと進んでいるのかな?と感じていたけど、かなり進行してしまっていたのかもしれません。
引越しの段取りに来てくれていた親戚の方が、Oさんが有料老人ホームに入るのだということを教えてくれました。
「引越ししたら、もう二度と会えないかもしれませんねえ。」
Oさんが目に少しの涙をにじませて、ニコニコ笑顔でおどけたように言っていました。
Oさんの庭からは、今日もキンモクセイが香ってきます。
お世話になった、たくさんの記憶と共に。



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